PrEP入門
PrEP 101
Prepについて知っておきたいこと、知ってほしいこと
PrEP 入門
- PrEPの正しい使用でHIV感染リスクを低下させることができます。
- PrEPは日本国外では薬事承認されており、多くの国ではツルバダ(TDF/FTC エムトリシタビン200mg/テノホビル ジソプロキシルフマル酸300mg)あるいはデシコビ( TAF/FTC アラフェナミドフマル酸エムトリシタビン200mg/テノホビル アラフェナミドフマル酸25mg)を使用しています。
- PrEPの内服後1-10%の方が副作用を経験(スタートアップ症候群)しますが、そのほとんどの症状は1ヶ月で自然に軽快します。
- PrEPはHIVに対してのみ予防効果を発揮します。したがって他の性感染症である梅毒、淋菌、クラミジア等を防ぐことはできません。
PrEP とは
PrEPとは、pre-exposure prophylaxis暴露前予防投与の略称です。PrEPは、1日1回服用するHIV予防薬で、HIVに感染するリスクを低減します。血液中に薬が存在することで、HIVウイルスは体内に侵入し定着することを阻止します。
PrEP が適している方
PrEPの開始には特に制限はありません。HIVの予防を始めたいと考える方は誰でも服用することができます。性別は関係なく、男性と性交渉を持つ男性(MSM)、トランスジェンダーも含みます。特にPrEPは、以下のような方に適しています:(WHOガイドライン・日本HIV学会の手引きより)
- コンドームの使用が難しい方
- ラッシュ、ゴメオ等薬物使用の経験がある方
- パートナーのHIVなどの性感染症の状況を確認することが難しい場合
- 多数のパートナーが存在する場合
- 1年以内にHIV以外の性感染症(梅毒やクラミジア、淋菌)と診断された方
PrEP の飲み方
PrEPは1日1回の内服療法です。性交渉の回数に応じて2つの飲み方があります。
デイリーPrEP: 1日1回で99%以上の予防効果を得ます
デイリーPrEPは、PrEPの処方で最も一般的な方法です。1 日1回の内服で99%の効果を発揮します。24時間ごとに1錠のPrEPを服用することで予防効果が得られます。毎日同じ時間にデイリーPrEPを服用することが推奨されています。
多くの臨床研究でHIVの予防に最も効果的な方法です
オンデマンドPrEP: 性交渉をあらかじめ計画でき回数が少ない方
オンデマンドPrEPは、性交渉があらかじめ計画し性行為後の日数を数える必要があり、意外に複雑な方法です。あまり一般的に処方されていません。
臨床研究ではHIVの予防に効果的ですが、簡単に服用を忘れてしまうため薬物濃度の低下の可能性が高く、デイリーPrEPほどの効果は得られにくいと考えられています。
MSM(男性と性交渉を行う男性)でのみ効果が確認されている飲み方です。
オンデマンドPrEPは毎日内服する必要がありません。そのためPrEPの処方費用を抑えたい方に適しています。
PrEPをオンデマンドで服用するには、次の順序で合計4錠を服用する必要があります
B型肝炎の感染歴がある場合にはオンデマンドPrEPは行えません
性交渉の2-24時間前 | 2錠内服 |
1回目の内服の24時間後 | 1錠内服 |
2回目の内服の24時間後 | 1錠内服 |
PrEP の安全性
PrEPはほとんどの方で安全に使用できる薬剤ですが、効果と副作用の確認のため定期的な医師の診察が必要です。
PrEPの内服後1-10%の方が副作用を経験(スタートアップ症候群)しますが、
そのほとんどの症状は1ヶ月で自然に軽快します。
PrEPのよる短期的な副作用には、吐気、嘔吐、下痢などの腹部症状と頭痛が報告されています。これまで行われた臨床試験の結果によると、これらの副作用はPrEPを使用している人の1%から10%が体験し、一般的には軽度で1-2週間以内に自然に治ることが分かっています。
この副作用の頻度は1世代前のツルバダのジェネリック医薬品を使用したPrEPに当てはまります。
当院ではPrEPとしてデシコビのジェネリック薬を採用しており、副作用の発現率はより低いと考えられています。
PrEPによる副作用がみられた場合、ほとんどはPrEPを中止すると元に戻ります。副作用を定期的に確認します。
PrEPに使用する薬剤はHIV治療にも使用するものです。長期的にHIVの治療に用いた場合、まれに腎機能の低下、骨密度の低下、脂質異常症が報告されています。
いずれも内服を中止することで、ほとんどが回復すると考えられています。PrEPでも長期的に内服した場合、同様の可能性があります。
腎機能への影響の懸念から、さらなる安心のために当院では腎機能障害の頻度が少ないデシコビのジェネリック薬を使用しています。
日本でお仕事をされている方は年に1-2回の定期健康診断が義務付けられており、そこで腎機能・脂質の検査が行われています。
健診の機会がなかった方やより高頻度に検査を必要とする方向けに郵送検査キットを用意しています。
PrEPの副作用について、さらにご質問があれば、まずは担当医にご相談ください。
PrEPはほとんどの方で安全に使用できる薬剤ですが、効果と副作用の確認のため定期的な医師の診察が必要です。
PrEPは医師による処方が必要な医薬品です。薬の飲み合わせによる効果が弱まったり、副作用の可能性が増強することがあります。
担当医にお使いのすべての医薬品、サプリメント、薬物(医師には守秘義務があります)について、お話いただけると幸いです。
PrEP の情報
日本エイズ学会2022年11月
当院は学会の手引き・ガイドラインを遵守しています。
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